うつ病とは

「何をやっても楽しくない」
「落ち込んで何もする気が起きない」
など、憂うつな気分になったり、今まで楽しめていたものが楽しめない、意欲が沸かない、といった状態が長い間(少なくとも2週間以上)続き、日常生活や社会活動に影響がでてしまっている状態を「うつ病」といいます。

わが国のうつ病の生涯有病率は6.7%といわれており、すでに一般的な病気と認知されています。
最新の知見から「うつ病」は脳の病気と考えられています。
そのため、「頑張ればなんとかなる」とか「自分が怠けている」というものではありません。
原因については、まだ十分に解明されていませんが、様々なストレスがきっかけとなり、脳内のネットワーク機能に何らかの異常が起きていると考えられています。
うつ病のはじめは、不眠や食欲不振、様々な身体の不調が現れます。そのため、まさか自分が「うつ病」だとは気づかず、内科を受診して検査や治療を受けているのに症状がむしろ悪化するため、最終的に「うつ病」と診断されるケースも少なくありません。
さらに、その状態を放置しておくと「死にたい」と思うようになってしまうこともあります。
うつ病の可能性に早く気づき、なるべく早く治療を受けることが大切です。
一人で悩まずになるべく早くご相談ください。

治療について

「うつ病」はストレスなどの原因を取り除いても、脳の機能異常が起きているため、きちんと治療を受けないとすぐには回復しません。
治療としては、下記の4つがあります。

休養環境調整薬物療法精神療法

休養

身体が病気になった時も「休養」をとり、身体をいたわりながら体力を養うように、うつ病の場合も「休養」をとり、心のエネルギーを回復させる必要があります。
そのために、できれば休職をし、仕事から離れる期間を設けます。
家庭にいる場合でも、一人でゆっくり過ごせる時間を持つことが大切です。
現状では十分な休養を取ることが難しければ、入院治療を検討するケースもあります。

環境調整

休養を取ると同時に、ストレスの原因が仕事や家庭にあれば、その原因を遠ざけるための「環境調整」が重要になります。
仮に復帰をしても、同じストレス因があるとすぐに症状が元に戻ってしまうリスクがあります。
職場の配置転換や、仕事量の調整、生活環境を変えるなど、周囲に理解をしてもらいながら、可能な限り調整を試みます。
実際に職場の上司や家族と面談し、医師より病状を説明したうえで具体的な調整を行なっていきます。

薬物療法

「うつ病」は身体の一部である「脳」の機能異常が原因と考えられています。
身体の病気に薬が有効なのと同じように、うつ病にも「投薬治療」が有効です。
一人ひとりの患者さんに合わせて適切な薬を使用することで、症状が改善し、仕事や日常生活に戻る道筋をつくることができるようになります。

「うつ病」の治療に用いられる薬には、以下のようなものがあります。

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
  • セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
  • ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)
  • 三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬

など

精神療法

「精神療法」は、医師や臨床心理士によるカウンセリングを行い、会話をしながら問題の解決を図っていくものです。
たとえば「認知行動療法」と呼ばれるものでは、患者さん自身の物事の捉え方の癖、特にストレスを受けたときに自分を否定しマイナス面に向かいがちな心の状況を共有し、そうした認知の歪みへの対処法を探っていくことで、心の負担を軽減し、症状の改善や再発予防を図っていきます。

当院では、患者さんの状況に合わせ、しっかりとご相談し、これらの治療を組み合わせながら、治療を進めていきます。
まずはお気軽にご相談ください。